―ガラガラッ…。
「はい席ついて!」
保健室のドアが開いて、若い男の先生が入ってきた。
『あ、どうも…』
さっきのキス事件を、なんとか自分で事故だと解釈してからあたしは雷樹と席についた。
「えーと?橋野唯?」
先生はあたしを指さした。
『え?…ハイ』
力の抜けた返事をすると…。
「なんだぁ?元気だせよ♪な?」先生はニカッと笑った。
あのねぇ…。
元気なんか出ませんよ。
いきなり男子校に入れられてさ。初日から唇奪われました…だよ?
あたしの様子に気付いた雷樹は、あたしをカバーするように言った。
「ま♪授業しようぜ授業♪」