思えば三年間、二人は数え切れないほど肩を並べてこの坂を帰った。


立ち並ぶ桜の木の本数を数えたり、ガードレール向こうに広がる町並みを見渡したりしながら、毎日坂を下った。


変わらない毎日も、ただ一緒にいるだけで、幸せだった。



それも今日で最後になる。



「東京行っても頑張ってね。」


「…。」


ケンジは声に詰まった。