やばい、やばい。

こんな時に限って、野球部のミーティングがのびるなんて!


高校一年のケンジは全力で自転車のペダルをこぎ、校舎のある丘の上から続く、長い坂道をくだった。



ケンジは公園につくと、自転車を乱暴に乗り捨て、長いポールの上につけられた、時計の針を見つめた。


時計は、午後九時を回っている。


「二時間以上も、待っていないだろーなあ。」

ケンジはそうつぶやくと、肩で息をしながら辺りを見回した。