「私ね、今日から家庭教師をする事になったんだ……」


翌日、私はクラスで一番仲の良い友達の純ちゃんに家庭教師の話をした。


純ちゃん、こと桜井純子さんとは不思議と気が合い、いつも一緒に帰っていて、ちょくちょく本屋さんやファーストフード店に寄ってお喋りをしていた。


しかしこれからは月水金はそれが出来なくなったので、その理由を言わなければいけないと思ったから。


「へえー、そうなんだあ。どんな子を教えるの?」


純ちゃんは、私が家庭教師をする事自体には全く驚く様子はなかった。


というのも、うちの学校では家庭教師のアルバイトをする子は何人もいて、珍しい事ではないらしい。


「えっとね、まだ本人には会ってないんだけど、中3の男の子。昨日、父とその家にご挨拶に行ったのね。来生さんって家なんだけど……」


昨日の話を詳しく純ちゃんに話していたら、


「えーっ!?」


突然、純ちゃんが大きな声を出した。