「りお、本屋行くの?」


自転車に跨がったわたしを友達が呼び止めた。


「うん。今日が新刊の発売日だからね!」

じゃ、また明日ね。
軽く手を振って。


急げ急げ。
時計を気にしながら自転車のペダルを漕ぐ。

時間はもうすぐ5時。
早く行かないと人気の本が売れちゃう。


わたし。
西高校二年。天宮(あまみや)りお。

ごく普通の高校生。父母と妹の4人暮らし。
毎日本屋に通い好きな小説を読んでる。