そしてついに


俺にとっての『運命の日』がやってきた。



昨日は緊張のせいか、なかなか寝つけず、結局寝たのは明け方で……。



それでも朝、早々と目が覚めてしまった。




俺は欠伸をしながら髪をセットし、

パリッと糊のついたＹシャツを着て細身のパンツをはく。




リビングに顔を出すと、


キッチンで朝ごはんの準備していた吉田さんが俺を見るなり手を止め、




「…まぁ、今日は雪でしょうか？


帰りの電車が止まらないといいんですけど…」



…日曜日の午前中なんて、滅多に起きない俺への嫌味を、笑いながら言った。




外に目を向けると


相変わらず肌寒そうだ。


けど、空は高く、日差しがとても心地よかった。



吉田さんが入れてくれたコーヒーを一口飲む。


そのコーヒーの香ばしい匂いが



俺を緊張から解放してくれた。



約束の時間は11時。



俺は早く彼女に会いたくて家を足早に後にした。





早く会いたい。


早く会いたい。


早く会いたい…。




はやる気持ちを押さえながら


俺は彼女と初めて会った



あの公園へと向かって歩き出した──…。