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高校三年の新秋。

進路の最終面談があった。


放課後になると、保護者が来て、担任と生徒の三人で面談をする。


─── …しばらくすると、俺の番が回ってきた。




「えーっと、遠藤くんは大学進学で、T大とW大の医学部だったわね?」



ペラペラっと進路指導書をめくる音が耳につく。



「……はい…」


俺は担任の里中<オンナ>の顔を見ながら答えた、が、


里中は親父のほうを見て

なぜがうっとりした表情をして




…うちの親父は、はたから見ると、『白髪の似合う、素敵なオジサマ』らしく、
どんな女もドキドキさせる…らしい……(家の手伝いにきてくれる吉田さん<オバチャン>が
目をハートにして言っていた)


たぶん、いや、絶対、

担任の里中(独身:39歳)も親父に魅了された一人になった…。




俺の話、聞いちゃいねぇし……。誰の面談だっ(怒)



俺は ふうっ と ため息をつき足を組み直す。



「先生、うちの息子の成績ではどうでしょうか?」


親父が口を開いた。


"話をするときは必ず人の目を見て話しなさい" 

そう言うだけあって、


先生の目を見て、優しい瞳で質問をする。


まるで患者に話しかけるように。



──うちの親父は医者だ。だから、

俺の進路も、なんとなく医学部になってる。

ま、二、三浪は覚悟かな、 なんて考えていたら


目をハートにしていた先生が、はっとして メガネをかけ直し、咳払いをして話始めた。


「あっ、はい!遠藤くんの成績ですと ─── ……

全国模試も10位以内にはいってますし、このまま維持できれば大丈夫ですね〜」

上機嫌で答える里中は、



チラッ

またまた上目使いで親父を見る。



やめてくれ〜ぃ!キモイよ!!


俺は再びため息をつき、視線をおとした。