ポスター用の写真を撮るために、美代ちゃんのメイクを女子みんなで相談しつつ進めていく。

「ねぇ、香。」

眉間にしわを寄せながら雑誌のメイクページを食い入るように見ていた玲奈が、手持ちぶさたの私に声をかけた。

「小山くんの写メ撮って来て。」

「…え?」

今、なんて?

「小山くんの完成状況見て、美代のメイクと髪型決めようと思って。」

他の人に頼んで欲しいなぁ…と思いながら周りを見渡すけど、みんな忙しそうに手を動かしていて仕方なく行くことにした。

制服のポケットから携帯を取り出して、ほとんどかけた事のないアイツの番号に電話する。

プルルル

プルルル

緊張するな…

ちゃんと出てくれるかな

プルルル

私の番号ちゃんと登録したままだよね?

どんどん不安になって、ひとまず小ホールから出た。