1ヶ月も経つと,新しい通学路も新鮮さがなくなるものだと,溜め息を吐いた。

見上げた先には桜の木があって,花が散ってしまった桜は葉に光が反射して,眩しくって思わず目を伏せた。

家から学校までの距離は徒歩10分ぐらいで,寝坊しても頑張れば学校に間に合う距離。

だから,こんなこと考えている間に学校に着いちゃうんだ。


「カナ,おはよー」


後ろから声を掛けられて,振り返ると,中学の時とは別人になった親友がいた。


「おはよ。朝からバッチリ化粧お疲れさまです」

「カナもじゃん。だけど,1ヶ月もったから,今度ジュース奢ってね」

「分かってるわよ。約束だったしね」


そんなことを言いながら,ジャレあっていると,昇降口までついていた。


「でさ,松元が地元で集まろうだって」

「いくらなんでも早くない?」


そう言って笑いながら靴を履いていると,カサッと音がして,足の裏に違和感を感じた。

何かと思ってみてみると,白い紙切れが入ってた。

開いてみると“今日の昼休み屋上に来てください。待ってます。”とだけ書かれていた。