ある日の夜明け前。
―――‥ピーンポーン
静かな部屋に単音なチャイムが鳴り響いた。
「誰だよ、こんな時間に…」
仕事を終えた後、久しぶりに家へ直行したってのに…こういう時に限ってゆっくりと体を休められなかったりする。
若干の苛立ちを残したままベッドから起き上がり、まだ眠ったままの麗華を起こさない様にそっと玄関へと向かった。
玄関の扉を開けた瞬間、俺の苛立ちは最高潮へと達した。
今、俺の目の前に立っている人物の姿を信じたくも無かった。
俺の全てを狂わせた二度と会いたくも無い人物が…何故か目の前に立っていた。