すっかり陽が落ち始めた頃。





麗華を店まで送り届けた後、俺も自分の仕事場へと車を向かわせた。




いつもと何ら変わりの無い派手な歓楽街。





同業者と思われる奴や酔っ払いやどっかの暴力団っぽい奴が行き来していて…治安がいい街だとはお世辞にも言えない。






そんな人間ばかりのこの街で俺は何年もの間ずっと生活をしてきた。





好き好んで暮らし始めた訳じゃねぇけど、もうこの生活にすっかり溶け込んでしまっていた。





この街は世間に見離された人間だろうと必死になれば大儲け出来る可能性が充分にある。





落ちこぼれ達にとっては唯一自分を救ってくれる有り難い街でもある。










店に着いた後、ふと俺は店の入り口に飾ってあるホスト達の写真を見ていた。






その中にNo.1と書かれたプレートの下に作り物みたいな表情の俺の写真が大きく飾ってあった。





琉依としての俺の姿を初めて知った瞬間だった。




今まで自分がどんな風に客に見えていたのか、どんな風に接していたのかを少しも知らなかった。





この写真を見て俺を指名する客も多く、見た目だけで判断をする客がほとんどだろう。






<No.1ホスト>その肩書きだけでも充分、客を掴む事が出来る…そんな単純な世界だ。