当てもなく車を走らせること数分。





遠くの方で陽が昇り始めた頃、何となく来た目的地周辺に車を停めて麗華の手を引きながら歩いた。





「あれ?ここは…?」




車の中で眠っていた麗華がまだ寝ぼけた様子のまま俺に訊ねた。





霧と薄暗い空のせいで遠くの方が見えずらいけど…仄かな潮風がゆっくりと俺達の間を通り抜けた。





着いた先は海開きを遥か先に控えた季節外れの壮大な海。




静かな空間に響く波音が都会では味わえないほど心を落ち着かせた。





「ここって…海?」





麗華は突然立ち止まり目の前に広がる海を子供の様に瞳を輝かせながら見つめていた。