翌日の仕事は予想通り、というか、やはりおばさんの愚痴を聞かされながらの作業となった。

「でさ、川崎君に手作りチョコとか渡してんのよ、あの年で恥ずかしげもなく」

隣のおばさんは、昼休みがすぎても口がとまることはない。

ベルトコンベヤで流れてくる弁当に、担当しているおかずを載せていくのだが、こっちはその作業をこなすのに精一杯だ。

とても口を動かしているひまはない。

しかし、長く勤めているおばさんたちは、息をしてるのと同じように、しゃべりながら作業をこなしてゆく。


(さすが、おばさん)


口と手と、それぞれ専用の脳みそを持っているのだろうか。


それにしても、よくこれだけ悪口を並べられるものだ。

誰々さんから始まって、本日5人目のターゲットの話になっていた。

「あんな女に色目使われたらさ、川崎君も気持ち悪いに決まってんじゃない。ねえ、聞いてる?」

「あ、はい」

いくつになっても女という生き物は、色恋沙汰には敏感だ。

(結局あんたも、その川崎君って男に熱を上げてるんでしょ)

と、言ってやることが出来れば、どれだけスッキリすることか。


だんだん、隣のおばさんが渡辺に見えてきた──