『プチです。口だけで5出します』

こう書かれていたのは、とある裏サイトの掲示板だった。

プチとはプチ援助交際という意味で、本番はなしという意味だ。その書き込みでマウスを動かす手が止まった。


(ダメよ。それだけはしないようにって、今まで頑張ってきたんじゃない)


これまで苦境に陥るたびに、何度も風俗店へのアルバイトを考えた。

しかし、それをやれば自分が自分でなくなってしまう。

それに


(お母さんが浮かばれない)


その気持ちが常にあった。


ここはプライドと生活のせめぎ合いだ。私はプライドが高すぎるのだろうか。

もう少し柔軟な考え方をすれば、もっと楽に生きられるのだろうか。


時間を確認すると、すでに午後10時を回っている。

この時間までに就労確認のメールが届いていないということは、明日の仕事も絶望的だ。


(一回だけなら……)


いったん進めた画面をまた戻すと、さきほどの掲示板に戻る。

しかし、誰とも知れない男のモノをくわえる自分の情けない姿を想像すると、吐き気がして電源を切った。


(やっぱり無理)


踏みとどまったのが正解なのか、それとも失敗なのか。

以前、ある男性派遣社員は、私に向かってこう言った。


「女は良いよね。いざとなったら体でいくらでも稼げるじゃん。男はそうはいかないからな」


そのとき、この男はどれだけ女を軽く見ているのだろうと軽蔑したものだ。

でも現実にはいま、心を揺らしている自分がいる。