レイドは稽古の部屋にいた。

ここは魔法や剣術、武術を鍛える、いわば、トレーニングルームである。

彼は部屋の中心で両手を大きく広げ、集中している。

目を瞑り、息を吸い、肩の力を抜いた。

スッと目を開けた。

「癒しを!」

一言そう叫ぶと、光を帯びた魔法陣が足元に浮かんだ。

フワッ

優しい風が吹き、辺りを散歩してから、風は止んだ。

「……大丈夫だな。」

口元を少しだけ緩めて、部屋を後にした。

彼の瞳は澄んだ青から、燃えるような赤に変色していた。



「王女様、集まりました。」

ヴァィがリィナの部屋のドアをノックした。

「わかりました。」

部屋で身支度をしていた。

「フゥリ、あなたはどう思う?」

「え、何をですか?」

「レイドのこと。」

フゥリはリィナの髪をときながら質問に答えた。

「私は、王女様は本当に、レイド様を信じておられると思いますわ。レイド様はこの国の人種ではないのには変わりないですが、今はもう側近騎士。人種などは関係ないのでは?もう、ルーゼン・ウルク王国の立派な家族です。」

「さすがフゥリね。」

「幼い頃からリィナ王女に遣っていただいてますから。あなたの気持ちはわかりますわ。」