「それはなりませぬぞ!」

国境で起きた、女神像破壊事件―。

国の象徴、守り神を破壊された国民の怒りは、国境に在るルーゼン村に矛先を向けた。

リィナは直ちに国境へ、騎士を送った。

襲撃を止めるため、自分も国境へ向かうことを表した。

しかし、ヴァィがリィナの行動を阻止した。

「私の家族が苦しんでいるの!お願い、行かせて!」

「なりませぬ!決して許しません!」

かたくなにリィナの行いを拒否した。

「いいですか、王女様。この国の上に立つアナタにもしものことがあったら、誰がこの国をまとめるのですか?」

「……そ、それは……。」

「私たちは、遣われる身。遣って下さる方がいなければ、頭がいなければ、ただの用無しのジジィと若造です。ここは、騎士たちにお任せを。」

ヴァィの理論はもっともだった。

彼がここまでリィナを思うのは、リィナもまた、彼らを思うからだろう。

「わかったわ。でも、現場の状況を知りたい。屋上に上がらせて。」

「リィナにはオレがちゃんと居るから。」

ヴァィは「頼みましたぞ。」とだけ言って、頭を下げた。