騎士試験が終了したその夜、王座の間にリィナ、レイド、シュー、ヴァイ、ダイ、スーハ、フゥリが集まった。

話すことはもちろん昼間の騒動。

「―そう、魔術師なのね。」

騒動をシューの口から聞いたリィナは、フゥリの差し出したリンゴジュースを一口飲んだ。

「レイドはその“異人”に見覚えがないのね。」

「知らねぇよ、あんな奴。大体、初めて見たよ、オレと同じ褐色の肌と黒髪。」

「しかし、レイド様をよく知る者のように思えました。バリックと名乗る者は、レイド様と同じ、魔法陣を召喚させる魔術を使いました。」

シューが補足した。

「奴は、はじめ、魔法で身体を変化させていました。恥ずかしながら、我々はそのことを見抜けませんでした。レイド様が気付かれなければ、どうなっていたことか……。」

「バリック、アイツの目的はオレだけだった。」

レイドの発した言葉に一同が驚かされた。

「アイツと戦ったとき、アイツの魔力は“オレ”を狙っていた。少しも、リィナを襲おうとしなかった。」

「でもはじめは私の命を狙って……」

「単なる挑発だったんだ。」