「リィナ姫!姫様はどこにいらっしゃいますか!?」

ルーゼン・ウルク王国にある城で、大臣が人を探していた。

その時、国中が騒がしくしていた。

“異人の襲撃”の仕業のせいで。

「早く!姫様を捜せ!姫様をお守りしろ!」

「はっ!」

城に遣われる騎士たちが建物内を駆け回る。

王座の間、姫の部屋、メイドの部屋―。

くまなく捜すが、姫の姿は見つからない。

「リィナ姫!リィナ姫!」

返事は返ってこない。

―まさか…。

大臣や騎士たちの頭には最悪の事態があった。

すでに異人に殺されてしまったのか―?

誰もそんなことは望まない。

「早くするのだ!姫様だけはお守りしろ!」

大臣はそう言い残し、数人の騎士を連れ添って、地下へ降りていった。

祭壇の間か―?

そう予想したから大臣は、地下へ降りたのだ。

地下の祭壇の間には、母の女王・ユリアナが眠っている。

別名・シーラ15世女王。

地下へ続く階段を勢いよく駆け降りる。

ダダダダタ…

時が止まった空間に足音が響く。

「姫様!姫様いらっしゃいますか!?」

相変わらず返事はなく、大臣の枯れた声が反ってくるだけ。

大臣たちが辿り着いたのは、ガラス細工で飾られた立派な大きな扉の前。