あの人の言う通りに、あたしは体育館裏までやって来た。


会いたくて。

会いたくて。

早く伝えたくて。


走るのなんて、大っ嫌いなのに頑張って走って来た。


大地くんの後ろ姿が目に入ったら、理由の分からない涙が出そうになった。



「…大地くん…」



だから、なぜか名前しか呼べなかった。

言いたいことがあるのに。

『好き』と伝えたいのに。



怖くて動けない自分に嫌気がさして、涙であたしの視界がますますぼやけ始めた。

あんなに会いたかった大地くんすら、もう見えない。