言乃は体が遠のく気がした。
一部始終を見ていた。

ケイトは最後に二人を飛ばし、トラックの下に─。


「ケイト君…?嘘…です、よね?ねぇ、ケイト君!どこですか!返事を、返事をしてください!」


 しかし、何も起こらない。
水溜りは、一つ波紋が広がり、それが消えた後には本来のアスファルトしか見えなくなってしまった。

胸の内から不安が押し寄せ、同時に視界がにじむ。

 言乃は傍らに浮かぶ雨の神に迫った。


「ケイト君はどうしたんですか!戻ってきますよね?貴女、死なないって言いましたよね?!」