山の中で約二時間も遭難寸前まで彷徨うという九死に一生スペシャルばりの経験をした三人。

言い換えれば貴重な時間を二時間も無駄にしたという事だ。

「よっしゃ!ここから先は一秒たりとも無駄には出来ん!」

十分な休息をとった陽が立ち上がり、きょうこがそばにいるにもかかわらず、その場で服を脱ぎ捨てる!

「ちょ!陽!何ここで脱いでんのよ!露出自重!」

思わず顔を両手で覆うきょうこ。

その割には指の隙間からしっかりと見ていますがナニカ?

「ぷぷっ」

そんな初々しい反応のきょうこを、陽が笑う。

「何だ、まさかお前の前で全裸になるとでも思ったか?んなきゃねぇだろ」

すっかり服を脱ぎ捨てた陽は、服の下に海水パンツを既に装備していた。

(こ、こいつ…!)

どや顔で仁王立ちする陽を前に、きょうこは戦慄の表情を浮かべる。

(まさか今朝自宅を出発する前から、事前に水着を着用していた?信じられない…テンション上がり切った小学生みたい…)