絶好の海水浴日和。

太陽はギラギラと照りつけ、蝉がこれでもかと一斉に合唱し、入道雲が上空を席巻する。

そんな中をきょうこ、葉也、陽の三人は歩く。

「あれ?何、きょうこ、お前浮き輪なんて持ってきたの?」

砂利道を歩く途中、大きな浮き輪に腕を通したきょうこに言う陽。

「うん!これに乗っかって、波に揺られてチャプチャプするんだぁ」

「…とか言ってきょうこ、お前実は泳げねぇんじゃね?」

「なにおう?運動神経抜群、通知表体育評価10の名神 きょうこ様を嘗めんなよ、おまへ」

「あ、そうか、胸ちっせぇから浮力がねぇもんな。そりゃ浮き輪も必要な訳だ」

「うきーっ!また胸の事言ったな陽!ちょっとだけ水着に着替えてる時覗かせてあげようかなと思ったけどもうやめた!葉也にだけ見せてあげる!」

「え、まじ?ウソウソ、きょうこ魅力的だよチャーミングだよ可愛いよ!もーラブラブ! 」

「お前調子いいんだよ陽~っ!…ところでさぁ」

きょうこがキョロキョロと周囲を見回す。

「どんどん山ん中入ってってない?」