___そして、数ヶ月後





「ねえねえ、今日のニュース見た?」

「見た!スカイが海外デビューだって!やばくない!?」

「うん!ことりがメンバーに入ってからやばいよね!!一気に人気でたしっ!!」

クラスの女子が騒いでいる。それを聞いた男子も興味深そうに寄ってきた。


「またスカイの話かよ。」

「あんたも人の事言えないじゃない。スカイのことりのファンのくせに。」

「っ、うるせーな!」


スカイは急激に成長し、日本では知らない者はいないほど有名になった。

そのせいもあり、彼等は多忙な日々を送っている。






*


「ことりー!楓くんが来たわよ!」


「はーい。」


母親に言われて玄関に向かえば、バレないように変装した彼氏が立っていた。

思わず笑いそうになるのを堪えて、おはよ と言えば楓も挨拶をする。

今日は珍しく仕事は昼からなのだ。

午前中は時間があいている為に久しぶりに楓と二人で会う約束をしていた。


「ことりも、帽子くらいは被りなよ。」

「あ、うん。」

楓に指摘されて帽子を少しだけ深く被り、外にでる。

自然と繋がれた手が嬉しくて頬が緩んだ。


「なんか、変な感じだよね。」

「何が?」

「前までことりは一般人だったのに、今では変装しなきゃ外に出られないなんて。」

「…そうだね。」

「…僕達がこうしてるのバレたら、明日のニュースが大変な事になってるよね。」

「………そうだね。」

少しだけ声音が低くなったことりに笑った。

「僕はバレてもいいよ?

ファン公認になったほうが、色々と楽そうだし。」

そうは言っても、そう簡単に行くはずがない。

ことりは楓のファンにたたかれそうだと思ったが口にはださなかった。