数日が過ぎた。

記憶が戻り、依然のような生活に戻ることができた。

いつもの学校に通い、普通に授業を受ける。

相変わらずクラスの人からはあまり好かれている立場ではないが

特に気にならなかった。



一つだけ、大きく変わったことがある。

それは、楓との関係だった。

別に隠しているわけではないが、付き合っている事は誰にも言っていない。

知っているのは陽だけだろう。



「ねえっ、明後日のスカイのコンサートいく!?」

女子生徒がそう話しているのを聞いて、自然と耳が傾いてしまう。

「行く~!あたしアリーナ席だった!」

「いいなあ。」


そう、コンサートは明後日に迫っていた。

練習や仕事で忙しい楓とは、あの日以来会っていない。

メールは、返信は遅いが一日一回はしている。

少し寂しいが、ことりはそれだけで十分だった。



予鈴が鳴り、授業が終わる。

特に予定もないために荷物をまとめてさっさと帰ろうとしたときだった。


「森山さん。」


廊下から、突然二人の生徒に名前を呼ばれた。

その顔に見覚えがある。