「いやっ!!お母さん、どこにも行かないで!!」


雨が降っている中、私は傘をささずに知らない男と歩く母親を追いかける


「待ってよ!!お、お願いだから…待って…」


どれだけ走っても追い付かない


「お母さん、どっか行っちゃ…いやぁぁぁあ!!」


バッ!!


「ハァハァ…」


またこの夢か、いつものことだ
雨が降っている日は必ずと言ってこの夢を見る


「夢の中ぐらい幸せを感じさせてくれよ…」


今日はまだ眠気が覚めただけだから体は楽だ
いつもは過呼吸が起こり、意識を失う


「シャワーでも浴びようかな」


嫌な汗をかいたし、気分転換になるかな
私はバスタオルを持ち浴場に向かった。


行く途中でリビングを見ると電気が点いていた
もう今は夜中の3時だ
誰が起きているのだろう…?
気付かれないようにそっと覗いてみた。


「……またか」


だいたいは予想していた光景が目に広がった
父親と知らない女がいる

父親と言っても本当の父親じゃないから何とも思わない


けど、朝からリビングが香水臭いのだけは止めてほしいな
朝ごはんが不味くなる