「ねえ、そういえば…」


顔を覆っていた花梨だったが、ふと落ち着いた声で頭を上げた。


「爆発の前…電話の向こうから、声がした気がするの」


「!?」


「声?」


きょとんとして聞き返す修平に、花梨は言った。


「そう。よく聞こえなかったんだけど……男の声だったと思う」


「それやったら楓とちゃうんか?」


「ううん。それは違うわ。それは分かるんだけど…でも、何を喋ったかまでは…」


「せやけど空港やぞ? 他に人がおってもおかしくないやろ」


「でもそれ以外の声はしなかった」


それ以外の声がしなかった…だと?

ありえない。

空港には常に人がいるはずだ。

まして二人は外に出ようとしていたんだぞ? 人が多いところだったはずだ。


「花梨、爆発の直前音がしたと言ったね?」


「え? ええ…。大きな音」


「……」


まさか……。

まさかと思うが…。


「お、おい蓮二…?」



…事故じゃ…ないっていうのか…?