「広瀬」 「はい」 貴方にこう呼ばれるのはもう何回目だろうか。 そして私もまったく変わらないトーンで返事をするのは何回目だろうか。 「この資料、まとめておいてくれ」 「はい」 彼の名は、工藤 修二(くどう しゅうじ) 彼は、大企業の社長の息子、つまり時期社長。私は、現社長の秘書だったのだか、彼が海外留学から帰ってきてからは何故か私は彼の秘書(実際には世話係り)を約二年程勤めている。 それ以下でもそれ以上でもない。