桜は八木邸の入り口の影にうずくまっていた。 小さく、小さくうずくまっていたんだ。 俺は足音を忍ばせてそっと近づく。 追いかけてきたのはいいものの… こんな時になんて声をかければいいのか俺は知らない。 そう考えているとザリッと草履が土にこすれる音がなってしまった。 しまった!! 俺としたことが… 「誰か…いるの?」 今にも消えてしまいそうな弱々しい声で桜は尋ねてきた。 「あ…俺。平助だよ……。」