次の日の朝、俺はいつもより早めに目が覚めた

相変わらず蒸し暑くて寝苦しいのもあるけど、寝てられない理由がもう1つ

それは時間がどうしても足りないからだ

寝る事よりも後悔しないように親父と色々な話がしたい

カウントダウンまで後6日しかないのだから


時間はまだ6時で学校がある日でさえもう少し遅く起きる

一階に降りると人気(ひとけ)はなく、まだおふくろも親父も寝ているみたいだ

そっか…自分だけ早く起きても意味ないんだ…と今さらそんな事に気付き、

ひとまず冷蔵庫から麦茶を取りだし、喉を潤した

……すると

ギシ…ギシ…と床が軋(きし)む音がして、俺は音のする方に注目した


『あら?どうしたの?』

足音はおふくろだった

普段おふくろより先に起きる事なんてなく、一番驚いていたのはおふくろみたいだ


『……ちょっと…ね』

俺は口を濁らせ、麦茶を冷蔵庫に閉まった

パジャマ姿のおふくろは台所の蛇口をひねり、コップに水を入れた

それをゴクリと飲み、俺の方を見た


『…あんたこの間から何か様子が違う気がする。まるで人が変わったみたい』

おふくろは嫌み混じりにも顔は笑顔だった

『人が変わったついでに、こんなに早く起きれるならお父さんとジョギングでもしてきたら良かったのに』


おふくろの言葉に俺は一瞬困惑していた

1秒…2秒…と考えた後、食いつくように質問した


『ジョギングって……?』