『では、失礼します』

花子は、陽一たちに礼儀正しく頭を下げ、バタバタと走り去る。

『さぁ、行きましょう』

陽一は、メリーの後に付いて行く。

再び、通路を渡る。いくつものドアがある。メリーは、それに見向きもせず奥へと進み続ける。陽一は、この場所が、どんな構造で作られているの不思議で仕方なかった。

そして、自分たちがいる場所が、この建物の一部だと知ると、探検をしたくなってきた。そんな事を思いつつ、自分の前に居るメリーの後をひたすらついて行く。

角を曲がると、一番奥にドアがある。メリーがその前に止まり、ようやくボスの部屋に着いたんだな…と理解をする。

メリーは軽く深呼吸をし、コンコンとドアに2回ノックをする。

『入れ』

中から、低い声が聞こえてきた。おそらく男性だろうと、陽一は判断をする。

『失礼します』
「し、失礼します」

陽一は、戸惑いながらメリーと部屋に入る。

部屋には、妙な緊張感が漂っている。陽一は、それを肌で感じ緊張をする。

部屋の奥には大きな窓があり、豪華な机と椅子に座っている男性と、その男性の傍に立っている女性が居た。陽一たちは、部屋の真ん中に移動する。

『紹介するわ。貴方の目の前に居るのが、G.S.Sを仕切るボスよ』

そこには、見た目からにして、30代の男性で、明るい藍色の髪を、低めの位置で一つに結んでいる。瞳も藍色で、整っ顔。服装は、黒を基調としたスーツに似た様な服を着ている。

『ボスの隣に居るのが、副ボスの有奈さんよ』

ボスの傍らに立っている女性は、キャラメル色の髪で、瞳も同じ色。メリーとは違った、黒と白の混ざった大人っぽいモノクロのワンピースを着ている。