「直斗を連れて、さっさと帰れ」

 予定よりも、早めにやって来たシェリーに、僕は、言った。



 ……



 僕は、大丈夫だって言ったのに。

 すっかり風邪で調子を崩したと思ったらしい。

 直斗は、シェリーに早く迎えに来いと電話をして。

 僕を部屋に追いやった。



 ……これじゃ、どっちが子供なんだか、判らないじゃないか!



 そう、頬を膨らませてみたけれども。

 理由はともかく。

 どっちにしろ、まともに動かないカラダに閉口して。

 しぶしぶ、自分のベッドに身を預けた時。

 直斗がシャワーを使う音を聞いて、彼が僕を一人にしてくれた、有り難さを思い知っていた。

 実のところ……これは、かなり、まずい状態だ。

 人間の本能に直結するような。

 渇いた。

 突き上げるような切なさは、ますますひどくなり。

 それを、一人で慰めようとしても。

 僕の部屋には、鍵が無く。

 最中に、万が一、扉でも開けられたら、きっと、相手がだれでも止まらないんじゃないかと怖かった。

 理性を吹き飛ばして、直斗を傷つけることだけは、嫌だ。

 そんなことを思いながら、シーツを握りしめ、耐えているうちに、薬の副作用で、少し眠ったみたいだった。

「螢ちゃん?」

 って言う、聞き慣れた声に、気がつくと。

 目の前に、シェリーが、立っていた。