「暑いな。暑いわ」

「午後から雨らしいよ」

「マジか…!俺今日も元気にチャリぶっ飛ばして来ちまったぞ」

「じゃあ帰りも、雨に打たれながら元気にチャリぶっ飛ばしたらいいよ」

「…」


何か言いたげなこいつは上園翔太。
それを軽くあしらうのが並岡賢。


「それより英治」


パンを頬張ったまま、俺――
西原英治は顔だけ横に向ける。


「暑くねぇの?長袖」


賢はちょいちょいと、俺の長袖を引っ張る。


「だな。俺なんか半袖でこの汗だぞ」


賢の奥から翔太がバーンと脇を大公開する。


思わず吹き出す俺。


「お前食事中に変なもん見せんな…。しまえ。そして速やかに離れろ」

「ひでぇこと言ってくれるぜ!それでも友達か?」

「友達か?だってよ、英治」

「お前に言ってんだろ」

「どっちでもいいわ。どっちでもいいから早く俺の《友達だ!》と言えよ、この俺の大親友どもが」

「あれ?アスファルトが湿った匂いがする…降ってきたか?」

「無視か」