『じゃあ、会場の場所、大丈夫やな?』

「何度も確認しなくても良いって。FAXで送ってくれた場所でしょ?富美子さんが送り迎えしてくれるんだし、心配いらないよ」

『……』

「一人で行くわけじゃないし、裕一君準備で忙しいでしょ。気ぃ使わなくても良いって」

『…気ィ使ってなんてないわ。お前はもっと大人を頼らんと』

「十分頼ってるよ。手続き全部、丸投げしてるし」

『任せて当たり前や。子供が全部するにゃ荷が重すぎる』

「あ、ななみちゃん元気?」

『何や、話すり替えよって。…元気や。最近は好き嫌い多いしな』

「もう5歳だっけ。…ピーマンとか?」

『ピーマンにナス、人参、玉ねぎ。』

「代表的な子供だねぇ。どうでもいいけど、裕一君の関西弁、転勤してから色々混じって関西弁じゃなくなってない?」

『…それよく言われるわ。こっちの土地にも慣れたからかもな。東京弁が入ってきとる。…そない変か?』
「さぁ、関西弁詳しくないから分からへんー」

『…関西弁舐めんなよ?』

「ごめんなー」

『美月』

「何でしょう」

『泣いたんか』

「別に?あ、婆ちゃんどーしてるー?」

『………………。あぁ、寝とるで。心配しとったで。お前と綾美のこと。感情的になりそうやけん、電話は自粛するて』