省吾は、進行方向の向こう側から、めぐみがこちらに向かって歩いてくるのを発見した。

省吾は今、心臓がばくばくしていた。

-ひどく罵られるだろうか、ビンタされるのか…さ、最悪、空気扱いのガン無視!? -

しかし、省吾を発見しためぐみの発言は、意外なものだった。

「あっ、芦田君!申し訳ないんだけれど、後で英語のノート、見せてくれない?」

「はっ、はいっ!芦田省吾、逃げも隠れもしませんっ!
どんなお詫びでも致します…って、え?

…英語のノート!?(?_?)」

「…英語の授業が始まる前、廊下で急に芦田君が血相を変えて、私の所に現れた。
…気付けば、保健室のベッドで私、横になってたの。
良くは分からないけれど、もしかしたらあの時芦田君、急に意識が無くなった私を助けに来てくれたのかしら?」

省吾と由美子は、そのめぐみの言葉に驚き、顔を見合わせた。

-どっ、どう言う事でしょう、由美子さん!?-