「…よ、ようし、いいぞいいぞ。びっ、ビーカー内の溶液が赤褐色に変わってきた。

あっ、由美子さん…申し訳ないのですが、そこにある青色の粉を取って頂けたらと。
暗がりだから間違えずに。右に置いてある皿です…」

「分かってるわよ、もう!」

「ひっ!な、殴らないでこれ以上…」

「ちょっと!私、今アンタを殴ろうとしたかしら?

事あるごとに、いつもアンタを殴っているみたいな言い方、やめてくれない?」

「…でっ、でも少なくとも毎朝登校時、目覚めの往復ビンタ…」

「何か?」

「…いいえ。」

「全く…」

-何で、私がこんな手伝いなんか…-

小野宮A高校の、化学同好会の教室内。周りは黒いカーテンで仕切られ、明かりと言えば、机の端にちょこんと置かれたランプだけ。

そんな暗がりの中、二人の白衣を着た生徒が、何やら作業をしていた。


-強気になあれ-


それは、二人が今作っている、薬の名前。なぜ二人がそんな薬を作っているのか、少しここで説明をせねばなるまい。