◇キャンサーセンター!?◇
癌―――……
叔父貴が……
あたしは目を開いたまま固まった。
膝の上で握った拳に力が入る。パジャマの上からでも分かるほど、その拳に熱がこもっていた。
手のひらにじっとりと汗が浮かんできた。
あまりの衝撃的な答えに、声が出ない。
震える手で口元を覆うと、あたしは俯いたまま何とか声を出した。
「……叔父貴が―――癌……?」
弱々しいその声に、戒の言葉がかぶさる。
「いや、そうじゃない。癌センターの経営に手を出すってことだ」
「……経営?」
「そ。俺もはっきりとは知らないけど、癌の研究センターは巨大な資産が動いていて、またその見返りも莫大なものらしいぜ」
「だから鴇田が裏で動いているんですよ」
鴇田―――マネーロンダリングのプロ……
「医師として、鴇田の兄であるドクターも一枚かんでる可能性はありですけど、裏でどう繋がってるのかは今のところ不明です」
でも、何で戒がそんなこと知って―――
そんな考えを読んだのか、戒は先回りして口を開いた。
「白虎会の鷹雄も…こいつのおやっさんだけど、その話に乗ったらしい。
この話は俺たちが関与できるほどの代物じゃないぜ。何せ青龍と白虎統一のさきがけになるだろうからな」