ノワール王国は隣にある大国、フレイル国と戦争をしていた。
フランチェスカはその戦争の間に王位を継いだ。
家臣たちの言うように言われるままに戦争を続ける。
だがそんな時に、停戦の申し出の為に、フレイル帝国から使者が来た。
「父の使者として参りました。フレイル国第一王子のエリックと申します」
エリックはとても美しい青年だった。
金色の長髪を束ね、海の様な青い瞳は澄んでおり、こちらを見つめる。
穏やかな物腰で、とても美しくほほ笑んでいる。
彼は親書を渡し、戦争を止めるように申し出た。
そんな彼を、じっとフランチェスカは見つめていた。
彼の青い瞳を見つめて放さない。
「陛下?」
「あっ。……なんでもないわ」
ずっと彼を見つめて放心していた。
そんな様子を見ていたら誰だって気がつく。
フランチェスカは敵国の王子に恋をしたことくらい誰にだってわかる。
勿論家臣たちは反対している。
何としてでも戦争をし、敵国の領土を自分たちの手中に収めたい。
それは何よりも自分たちの利益の為だ。
欲望にまみれた汚い大人だ。