大きな城が町を見下ろす。
人々がそれぞれの一日を生きて行く。


そこで人の間を縫って進む一人の幼女。
短い金色の髪が揺れる。

彼女もまたいつものようにある場所に向かった。
毎日のように訪れる場所。

町のはずれに建つ小さな教会。
その戸をあけ、中にいたシスターに駆け寄る。


「シスター、おはよう!」

「おはようシャーリィ」

優しく、年老いたシスターはほほ笑んだ。
キラキラと輝く顔を見せるシャーリィ。


「またお話聞かせて!」

「ええ、いいわよ」


シャーリィはここでシスターの話を聞くのが好きだった。
昔話。昔々のおとぎ話。

それを聞くのが大好きで、
毎日毎日通っていた。



「じゃあ、今日は魔女のお話をしてあげよう」

「魔女?」

「魔女と呼ばれた女王様のお話」


シスターは語り始めた。
はるか昔の物語。遠い昔の物語。