そっと目を開けると、

そこにはあたしを心配気に見下ろす姿 ――‥ではなく。

‥銀髪を揺らしながら熱心にビールを飲むウォルフの後ろ姿を見つけた。


「‥‥‥。」


私は無言でムクリと起き上がる。


この男は間違っても心配気に顔を覗き込んだりしてくれるタイプではない。

‥ちょっと期待してたケド。


だからか、少し不機嫌気味にその後ろ姿に声を掛けた。


「‥ここドコ」

「――‥んぁ?」


振り返ったヤツの口には酒のつまみであろう肉が挟まったまま。


「‥ちょっと!
人が負傷して寝込んでるってのにその枕元でお酒飲んでるなんてあまりにもヒドイでしょうッ!
しかもこのケガはウォルフのせいなのにッ!!」


頭にきてたから勢いよくそうまくしたてると、「あぁん?」とウォルフはお決まりのセリフで私を振り返る。


「オマエのドコが怪我してんだよ、この不死身オンナ」

「――‥た、たとえば不死身だったとしても!痛いのは痛いのよッ!!」


ウォルフはニヤニヤと私を見る。

手に持ってたビールをテーブルに置くと、カタンと音をたてて椅子から立ち上がった。


「認めたついでに分けてくれよ、オマエの生命力」

「‥ちょ、待‥っ!」


伸びてきたウォルフの大きな手。

それが、躊躇いなく私の後頭部へと回り、そこを自分の方へと引きつける。

目の前に、ウォルフの薄い水色の瞳が近づく。