目の前に美味そうなかつ丼が浮かんでいた。

「幻覚が見える様になってしまった…」

ミツルは、なんでボクシングなんか始めちゃったんだろうと、心の底から後悔した。こんな、幻覚まで見えるなんて…

しかし、空腹絶頂のミツルは、むっくりと起きて、幻覚に向かって手を出して見た。

すると…

なんと、掴めるでは無いか。そして良い香りまで。

「おお…」

かつ丼の神々しいまでに美しいその姿をしばし眺めてからミツルは躊躇う事無く、箸を取り、がふがふと、それをかき込んだ。

久しぶりのどんぶり飯に感動しながら。