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第弐章・復讐

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私は暫く起き上がる事も出来なかった。

待望の子供が死んだ。その事に強い絶望感が私を襲う。

「殺してしまった…」

涙は止まることなく流れてくる。
手の甲で涙を拭っては、姿を見ることが出来なかった我が子を思う。

(痛かっただろう…苦しかったろうに…)

今は膨らみも無いお腹に手をあてる。
毎日お腹を蹴るようになって、凄く痛かったものの
それが嬉しかった。
待ち遠しかった。

「珠姫ちゃん。入るよ。」

そこまで考えていて、障子に沖田様の影が映るのを見た。

「沖田様…」

私が了承するよりも早く、沖田様は襖を開けて姿を現した。

「やぁ。大丈夫?珠姫ちゃん。」

「…………。」

「お腹の子は残念だったけれども、
珠姫ちゃんだけでも無事で良かった。」

沖田様は私の体を引き寄せ抱き締める。
その腕が無遠慮で体に痛みがはしる。

「ッ!?」

「あぁ、ごめん。あんまりホッとしたから、つい。ごめんね。」

痛みで顔を歪めた私をみて、沖田様は驚かれたのか、目を開き、
体を束縛していた沖田様の腕が離れる。

「いえ…大丈夫です。」

「本当。珠姫ちゃんが無事で何よりだよ。
早く元気になってよ。ほら、白湯飲むでしょ?」

沖田様は私の体を起こすと、無理矢理白湯を私に飲ませる。
何時もはこんなことをしないのに…
彼も気が動転しているのかしら…
最初はそう思っていた。

「ゲホッゴホッ!!」

強引さについていけず、噎せてしまう。

「あ。ごめん。配分をしっかり考えなきゃね。」

困ったように笑みを浮かべて、私の背中を擦ってくださる。

「ありがとうございます。もう大丈夫ですから。」

「そう?無理は駄目だからね。
白湯も飲んだし、少しは食べたら?」

私は子供を殺してから、食事が喉を通らず、殆ど口にしていなかった。
食べなきゃならないことは分かっているが、どうしても、食べたくない。
食べても直ぐに戻してしまうのだ。

「……………。」

この日も私は沖田様のお誘いに、頷く事もしなかった。