眼前に広がる深い森を眺めてカルクカンから降り、手綱を引いて歩く。

 ここはまだ森の入り口の手前に過ぎず、あちらこちらに木々が点在している程度だ。

 目当ての森はもう少し先にあり、しばらく歩くと小さな湖が視界に入る。

 まだ明るいがすぐにでも陽が傾くだろう。

「今日はここまでか」

 暗くなってから森に入るのは危険だ。

 ソーズワースから荷物を降ろして自由にさせる。

 そして澄んだ湖を覗き込む。

「一匹くらいはいるだろう」

 服を脱ぎ、短剣を口にくわえて飛び込む。

 水は少し冷たいが耐えられないほどでもない。

 湖の中は考えていたよりも視界は鮮明で、底に沈んでいる倒木からは魚影が多く見られた。

 一度、水面に出て再び水中に潜る。