あれ以来、
わたしは学校が、クラスが、
怖くなって行けなくなってしまった。


学校に行こうとするとお腹が痛くなるし、
気持ち悪くなって吐いたりもした。

小児科の鈴木先生に見てもらって、
わたしは検査入院と言う形での入院となった。


きっと鈴木先生は気付いてたんだよね。
腹痛も嘔吐も、精神的なものだって。
見抜いて入院させてくれたんだよね。

点滴もしてない。
食事制限もない。
検査だってしない。

端から見たら、
何処が悪いのって感じだっただろう。

入院友達が出来て、
一緒に車椅子で病棟中走り回ったり。
夜中にこっそりカップ麺食べたり。
折り紙にハマって「折り紙博士の深依ちゃん」って呼ばれて、くす玉沢山作っていろんな患者さんにプレゼントしたり。
ナースステーションの看護師さんみんな覚えちゃったり。


でも喘息の発作が起きれば、
吸収も点滴もしてもらえる。


両親が共働きで鍵っ子で、
しかも一人っ子だったわたしは、
学校にも家にも居場所が無くなって、
先生も看護師さんも優しいこの「病院」が、
唯一「わたし」らしく居られる、
安心出来て落ち着ける、
わたしの「居場所」になってしまっていった。


学校にも行かなくていい、
家よりずっと快適で楽しい。


その頃のわたしはまだまだ子供で、
入院費がどれだけ高いのかなんて、
知らなかったし、考えもしなかった。


ただ、大人たちに甘えて生きていた。


学校から、いじめから、家から。
全部から逃げて、立ち向かおうとしなかったわたしは、今考えると、
本当に本当に一番情けなく思う。

本当に馬鹿だったね。
本当に子供だったね。



今頃、沢山の大人たちに多大な迷惑をかけていたことに気付くなんて。




みんな、本当にごめんなさい。
そして、本当にありがとうございました。