「じゃ、私はＡ組だから。シロはＣ組だよ！間違えちゃダメだよ！」
「もう沙希ちゃん！間違えないってば！」

悪戯っぽく笑う沙希ちゃんはＡ組の教室に入って行った。

残された私は１人で教室に向かう。
沙希ちゃんが隣にいないとこんなに不安だなんて。

長い廊下を歩いていると頭に大きな衝撃が走った。

「痛っ！！」

何かが頭にぶつかった…？

「あ、わりぃ。」

顔をあげると男子がいた。
背が高く、目は切れ長でサラサラの髪の毛がなびいていた。
大きな四角いスポーツバッグを肩に担いでいる所を見るとどうやらバッグの角が頭にぶつかったらしい。

「私もごめんなさい。ボーっとしてて。」
「そうだよな、トロトロ歩いてるお前にも責任があるからお互い様だな。」
「はい…って、へっ！？」

もう一度彼を見たときにはもう私のずっと先を歩いていた。

何だったんだ…あの人…。
目つきも口も悪くて怖い人だったな…。

少しヒリヒリする頭を摩りながら私はまた教室へと歩き出した。