校庭の真ん中に、用意されたキャンプファイアー用の組木。


そこに円を描くように生徒、教師ともに集まっていた。



「さぁー、皆さん。いよいよ結果発表です。ですが、その前に今年の売り上げNo.1の優勝賞品は……」



無駄に間を開ける司会者。


いいから、さっさと言えし。



「二泊三日の温泉旅行でーす!!」


『きゃあぁああああああ!』



怒濤の如く沸き上がった歓喜の叫び。


うるさい。


隣にいるほのかが、すんごい声を上げたため私は顔をしかめて耳を塞いだ。



「そしてぇ、優勝したのは……」



また無駄な間を、お前はみのさんか。みのさんの親戚だろ。



「……です!」


「あ、ほのかやったじゃん。温泉楽しみだね」



シーンとした空間に私の声が大きく響いた。その言葉にクラスの皆が勢い良く顔を私に向ける。



「え?」



私、聞き間違えた?



「奈緒、嘘じゃないよね」



ほのかが静かに言った。



「え、うん。うちのクラス優勝でしょ?」


『……』



あれ?



『や、やったぁあああああ!』



どうやら皆さん実感が沸かなかったらしい。