「心さん………本当に不思議な人だ。あなたは人のこころをよめるの?」

進君は私をまっすぐにみつめる。

「まさか。そんなこと、出来るわけないでしょう?」


ただ、何となく感じることが出来るだけ。人のこころの波を。

特に、こころが悲鳴をあげている人のことは。





「俺さ………正直、今でも。兄貴がいなくなって、どうしたらいいのかわからないんだ。」

「………うん。」

「…………兄貴は、俺の憧れで、目標だった。俺を守ってくれて、支えてくれた。兄貴がいたから、今の俺がある。」