ジリリリリ


いつもの時間に枕もとにおいてあった時計が鳴り響く。



「うっさいなぁ…」



すっかり熟睡していた私も、さすがにこの音には叶わない。
チラリと時計に目をやると、朝の7時。



いつも起きる時間より少し早いことにちょっとだけ後悔した。



ベッドから起き上がり、リビングへと向かう。



「おはよう」


「おはよう」


おいしそうな朝食の臭いがたまらない。


なんとなく目をやったテレビには、いつも同じようなニュースしかない。


「また、マリア様が…」


お母さんが、ニュースを見ながらポツリと呟く。


「お母さん!!」


私は言うなり、テレビを消した。


横目でチラリと見た母は、泣いていた。
いつものことだけど、やっぱり悲しかった。


「もう、見ちゃ…だめだよ」


そう言って、お父さんの元へと向かった。



「おはよう、お父さん」


そう、問い掛けても返事はかえってこない。
あたりまえだ。


私の父は2年前、マリア様の命令で死刑にされ、死んだ。


王家の血を継ぐマリア様は、この世で一番の地位をもつ存在。
マリア様の言うことは絶対なのだ。


なぜか、国民の心にはそう深く刻まれているのだ。