思わず携帯相手に身構え、思い切り警戒心があふれ出した私の耳に低い声が届く。

「ぇ、ぁーはい?!」

「あーっと。すんません、黒崎です。」

とりあえず、の条件反射で電話の声に応対したは頭の中でカチカチ、と黒崎という名の人物を思い浮かべた。

グルグルと知り合いの中の"男性"を探し回ってもそこにはどこにもいなくて――パニックが最高潮まで達しかけたところで、ソレは出てきた。

明らかに記憶に新しい、黒い折りたたみ傘の映像と、私が昨日送ったメールの文面。
あぁ、確か、確か、確か―――