「――こ、菜々子?」 付き添いに来ていてくれた、母の声で現実世界に引き戻される。 「…ごめん。ぼーっとしてた」 無理矢理笑顔を作って、軽くお腹を叩いた。 「やっぱり、お母さんが言ってた病気だったみたい」 「…そう」 「はは、仕方ないよね」 母は、何も言わない。 正直有り難かった。何も喋りたく無い、何も考えたくなかったから…