『おばあちゃん、明日東京に帰るね!』


『夢、チョットおばあちゃんのお話を聞いてくれるかい?


実は、お前のお父さんの事で話しておきたいことがあるんだよ。


実は・・・・・・お前の父さんの背中を見た事はあるかい?』


『見た事無いよ!


だって、一緒にお風呂に入った事も無いし、海に泳ぎに行ったり温泉に行ったりした事無いもん。


お父さん何時も仕事が忙しいから、休みの日でも突然呼び出されて出て行ったりしてたやん。』


『そうかい!


じつはな、お前の父さんの背中には大きな火傷の跡があるんだよ。


まだお前の父さんが15歳の時にな、家が火事になってお前のおじいさんがお父さんを助ける為に、私を助け出した後もう一度火の中に飛び込み死んでしまったんや。


私を先に助けたばっかりにお前の父さんは火傷を負ってしまった。』


『その話、聞いた事あるわ。


昔火事が有って、それでおじいちゃんが死んでしもうたってだけやったけど。』


『実はな、あの当時私は姑さんと馬が合わず、かなり苛められてな、そのせいで少しノイローゼ気味だったんや。


それでな、いっそのこと死んでしまいたいと思う事が度々やった。


あの日の火事、実は私が火をつけてしまったんや。


しかし、とんでもない事をしてしまったと気が付いた時には火の手は上がり、どうにも成らなくなってしまったんや。


慌てて叫んだ時に、お前のじいさんが2階から降りてきて私を外に連れ出してくれたんや。

その時に『靖男が中に...』と叫ぶと同時に、じいさんがまた火の中に飛び込んでいき、再び出てきた時靖男を抱えたまま倒れこみ、そのまま帰らぬ人となってしまったんや。